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2008年7月19日 (土)

グルクン

グルクン、沖縄県の象徴のサカナだ。そのグルクンの60%の漁獲をしているのが、追い込み漁が主とのことだった。この数値には、正直言って驚きました。定置網や釣りで漁獲しているとばかり思っていました。

 追い込み漁は、伊良部島の漁師さんがスクーバタンクを背負って水底を仕掛けた魚網に向かってサカナを追い込んで捕まえる伝統漁法だ。深い水深だと50mくらいまで潜り、一気に水面近くまでサカナを追い詰めて行くのでした。サカナの動きは、早いです。そのために浮上速度や安全停止なんて悠長なことを言っていられないのでした。一気に深場から浅場まで猛ダッシュとなるのでした。

 スクーバシステムがなかった時代は、素潜りで水面から竹さおや綱に錘と白い布切れをつけて水底でブラバラと揺らせてサカナを追い込んでいました。海に入ってサカナを追い込む人、船で魚網を張っている人、最後は追い込んだサカナが入った魚網を引き上げるのでした。大勢の人が必要なの漁法でした。

 スクーバ装備を使っていますので、潜水病の恐怖は付きまとうのでした。厳しい漁法だったために後継者が育たなかった。あるいは後継者にさせなかった等の理由で各地にあった追い込み漁の船団でしたが、沖縄県内では、ついに一箇所だけになった。そのグループの水揚げが県内の60%のグルクンの漁獲高を誇っている。

 この伝統漁法ですが、そうです怖い潜水障害を起こしてしまうのでした。浮上速度無視、水中時間無視、水面休息時間無視、水中での激しい活動となりますので、身体に溶け込んだ窒素量の管理はできなくなります。ってことは減圧症になってしまうのでした。

 追い込み漁が終わり港に戻って、一日の作業、ご苦労様ということで港で乾杯、乾杯の杯、祝宴が始まるのでした。体内に大量の溶け込んでいる窒素、アルコールが血液中に入る。血管が拡張し、心拍数は増加、血液の流れる速度も速くなってしまうのでした。

 当然の如く、窒素が血液中で動きが活発になり、ぶつかりあって気泡のサイズが大きくなるのでした。気泡のサイズが大きくなることで細い血管を詰まらせることもあるし、神経組織の近くで膨張して神経組織を圧迫することもあるし、組織内で気泡化して組織自体を壊すこともあるのでした。重症の減圧症になる可能性が高くなのでした。

 股関節部分の骨が壊死を起こしてしまう無菌性骨壊死となってしまうこともある。頭蓋骨と大脳の間に気泡が発生することもあるのでした。あるいは脳の血管を塞ぐことも、心臓の冠動脈を塞ぐこともあるのでした。

 食卓にあるグルクンのから揚げ、多くの人の手を介していること。漁労現場の危険性を考えるとただ単に美味しいと感謝するだけではすまないようにも感じるのでした。

 減圧症への警告をしなかった潜水現場、潜水の安全教育が無意味でもあった結果なのでした。この3年くらいから漁師さん、ガイドダイバー以外の一般レジャーダイバーまで重症の減圧症を罹患する事案が増えている事実を覚えておいてください。沖縄での潜水障害の治療ですが、人材不足が露呈して適切な治療が受けられなくなっています。これから夏本番ですが、皆さんは大丈夫ですか。

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